あしたの地図よ 〜筋ととおり
上田假奈代
阿倍野筋は夕暮れの道だ
アーケードのすきまから夕陽がみえる
阿倍野筋の路地を入ると
曲がりくねったまま
誰かの家に入ってしまいそうやね
黒い猫が寝ている
あの灰色の道はすこし坂道
石の階段がある
足音は商店街へ向かう
遠い昔 熊野へいく道があった
夏の祭りのたびに若者たちが恋におちた
街並みをかえる再開発があった
忘れられた歴史は交差点でときおり現れる
信号の色が変わるのを予感する瞬間のように
すぐに色は変わって 歩き出す
耳元にきこえた誰かの声を思い出せずに